
2025年3月5日に開かれた茨城県議会の一般質問において、公明党の八島功男議員が「つくばエクスプレス(TX)土浦延伸構想・フェーズ2の推進」について質問を行いました。
つくば市に住み、日々の生活の中でTXの利便性を実感している私にとって、この議論は非常に現実的であり、地域の未来に直結する大切なテーマです。TXは、開業から約20年を経て、今や沿線地域の経済・教育・医療・子育てに欠かせない存在となっています。そのTXが、さらに利便性を高めるべく、新たなステージに向かって歩み始めています。
まず注目されているのが、「土浦延伸構想」です。2024年6月には、常磐線との接続駅として土浦駅を結節点とする方針が決定し、延伸に向けた構想が大きく前進しました。つくば市と土浦市が連携することで、常磐線とのアクセスが飛躍的に向上し、通勤・通学、観光、医療など様々な面での利便性が高まることが期待されています。

そしてもう一つが、「東京駅への延伸構想」です。現在TXは秋葉原止まりですが、東京駅まで乗り入れることで、東海道新幹線をはじめとする全国主要路線との接続が実現します。つくばから東京駅へダイレクトにアクセスできるようになれば、国際会議やビジネス展開の拠点として、つくばのポテンシャルはさらに引き上げられることでしょう。特に女性や子育て世代の方々にとっては、移動のストレスが減り、仕事と家庭の両立における支援にもつながります。
一方で、TXは2026年3月に開業以来初めてとなる本格的な運賃改定を予定しています。首都圏新都市鉄道株式会社は、国に対して平均12.2%の値上げを申請しており、初乗り運賃は170円から180円、つくば駅から秋葉原駅までの運賃は1,210円から1,280円となる見込みです。定期券についても、通勤定期の割引率が40.6%から37.4%に見直され、実質的な負担増となります。
この値上げの背景には、TXが抱える車両や施設の老朽化対応、2030年代を見据えた8両編成化による混雑緩和、さらには将来的な技術更新や保守作業のデジタル化に対応するための設備投資など、持続可能な運行体制を築くための必要性が挙げられます。
しかし、この運賃改定は一方的な負担を求めるものではありません。特に評価したいのは、子育て世代への配慮が盛り込まれている点です。通学定期の割引率は60.4%から70%へ拡充され、秋葉原〜守谷間の1か月通学定期は20,090円から16,560円に値下げされます。さらに、小学生向けには距離に関係なく一律5,000円とする定期券制度、小児ICカードでは14キロ超が一律200円といった、家計への負担軽減策が丁寧に設計されています。
TXは、省エネ設備や自動運転装置(ATO)の導入により、省人化・省コスト運行の工夫も続けており、経営努力もあわせて進められています。今回の運賃改定は、「安全で快適な運行を持続させるための選択的負担」であり、将来の利便性向上への投資と受け止めることができるのではないでしょうか。
地域の皆さまの暮らしとともに歩んできたTXが、土浦へ、そして東京駅へと、その可能性を広げていくことは、私たちの生活や子どもたちの未来にとって、大きな意味を持つものです。これからも、県議会の場を通じて、地域の声を丁寧に届けながら、誰もが利用しやすい公共交通の実現に力を尽くしてまいります。