山本美和議員の一般質問【学校管理職の登用について】

2024年3月7日県議会一般質問が行われ、県議会公明党の山本美和県議が登壇しました。
山本県議は、時代に即応した教員の管理職登用、女性管理職の積極的な登用について質問しました。最後に、女性教諭が増える中で、山本議員は、「小学校などでは女性のみの管理職、校長・教頭・教務主任といった組み合わせも想定されています。災害時、緊急時、男親への対応など、女性特有の課題も懸念されます。想定される課題に対しての早急の対策をお願いします」と訴えました。

学校管理職の登用について

 学校管理職の登用について伺います。
 本県における教員選考試験の志願倍率は、令和6年度採用の小学校教諭で2.22倍、中学校教諭は4.42倍。特に小学校教諭については、採用予定人数が10年前より約1.5倍になっていても志願者数はほぼ変わらない状態です。
 その中で私が着目しているのは女性教員の割合と女性管理職の登用です。「茨城県教職員子育て応援・女性活躍推進プラン」のデータによると、教員採用者に占める女性の割合は中学校教諭で44.8%、小学校教諭では約60%。市町村立学校の女性教員の比率は、中学校は45.95%、小学校は65.67%であり、小学校では6割以上を女性が占めています。
 また、管理職に占める女性の割合は、校長が前年比+2.1の25.5%、副校長・教頭が前年比+2.8の34%、合計では前年比+2.5の30.1%で、教員全体に占める女性の割合に比べ、管理職に占める女性の割合は低い現状となっています。
 これはなぜなのでしょうか。独立行政法人国立女性教育会館が平成30年に行った「学校教員のキャリアと生活に関する調査」報告によると、教員の働く環境は決して男女平等ではなく、家庭生活においても大きな男女格差があり、この格差は管理職志向にも影響していることを明らかにしています。教員管理職を目指さない・目指せない理由には「担任をもって子供と接していたい」「自分にはその力量がない」「労働時間が長い」「自分の家庭の育児や介護等との両立が難しい」などの理由があげられており、「女性」という「アンコンシャス・バイアス」や、性別による役割分担意識が背景にあることが推察されます。今後の教育現場において、次代を担う児童生徒に対して不均衡なリーダーモデルを示すこととならないよう、“組織の問題”として捉え、全教職員への実態調査を行い、制度やしくみを変えていく必要があるのではないでしょうか。
 なお、茨城県の教職員全体の年齢構成をみると、60歳の約500人から年齢ごとに減少し、49歳で一気に200人前後と、60歳の半分以下となります。県内の公立小中学校の数は657校ですので、管理職は単純計算で1,300人以上必要です。現在60歳、59歳の管理職は約150人ずつおりますが、今後、60歳と比べ世代ごとの人数が大きく減少する中で、管理職には向き不向きもあり、また全責任を負う力量が必要であることを考えると、管理職をどのように登用していくのかは、大きな課題でなないでしょうか。さらに、学校経営者としての力不足がいじめや不登校、教職員の不祥事やメンタルヘルス対策などの問題を大きくしている場合もあることを考えると、これからの管理職登用にしっかりと手を打たねばならないのではないでしょうか。
 これらを踏まえ、本県の公立小中学校における教職員年齢構成の概要とここから考え得る課題、管理職の登用・女性管理職の登用についてどのように進めていくのか、教育長にお伺いいたします。

【教育長答弁】
 本県の市町村立小中学校における教員の年齢構成の割合は、50歳代が31.2%、40歳代が18.8%、30歳代が26.4%、20歳代が23.6%となっており、第2次ベビーブーム世代を含む50歳代に比べ、40歳代以下の各年齢層は、構成割合が低い状況にあります。
 この40歳代以下の教員数が少ない年齢構成割合は、今後の管理職登用の面においては、課題というより、むしろ幅広い年代から人材を登用し、学校組織を活性化する好機であり、新たな発想で学校経営を担うことができるよう、30歳代、40歳代の人材育成を図り、積極的に管理職に登用してまいりたいと考えております。
 このため、本県におきましては、2022年度から新たに主幹教諭の職を設け、これらの世代の教員が教頭の業務の一部を担うことで、管理職としての人材育成を図っているところです。
 さらに、来年度から、将来の管理職を計画的に育成するため、新たに教職員マネジメント研修を行うこととし、毎年30歳から40歳までの約70名の教職員を対象に、2年間かけて学校経営に必要なマネジメント能力やリーダーシップなどの資質能力の向上を図るとともに、併せて管理職の魅力ややりがいについて意識の向上に努めてまいります。
 次に、女性管理職の登用についてであります。
 県におきましては、教職員子育て応援・女性活躍推進プランにおいて、国の第5次男女共同参画基本計画等も踏まえ、目標とする女性管理職の割合を、校長を20%、副校長・教頭を25%と設定し、取り組んでおります。
 現在、本県における2023年度の市町村立小中学校の女性管理職は、校長は全国を3.9ポイント上回る25.5%、副校長・教頭は全国を6.3ポイント上回る34.0%となっております。
 しかしながら、議員ご指摘のとおり、女性管理職の割合は、教員全体に占める女性の割合と比べると、まだ低い状況でございます。
 このため、県内の小中学校においては、管理職とともに学校運営を支える教務主任や学年主任などに女性教員を積極的に配置し、その割合は、約5割となっております。これらの教員が学校全体の教育課程の業務や学年経営に携わることで、力量と自信を備えた人材の育成に取り組んでいるところでございます。
 その結果、女性管理職として活躍している校長、教頭などからは、「教務主任を経験したことで、学校全体を考える視野が広まった」、「学校運営に対する自信がもて、管理職を目指す意欲につながった」という意見があがっております。
 県といたしましては、今後も引き続き学校教育の諸課題に対して、適切に対応し、よりよい学校経営ができる若い世代の教員の資質向上に努めるとともに、女性管理職の人材育成に積極的に取り組んでまいります。

【再質問】
 教育長に、若年での管理職登用について、再質問します。
若年での管理職登用は、学年主任、教務主任、生徒指導主事などの経験や、いじめや不登校、学級経営、保護者対応など様々な案件への対応において絶対的に経験値が不足しがちになります。
そこで、もう少し具体的に若年管理職育成について教育長にお伺いします。

【再質問への教育長答弁】
 若年登用についてでございますが、具体的には、やはり若い世代の教員に対しまして学年主任であったり、あるいは教務主任を早い年代から経験してもらうこと、それがやはり大事なことであろうと思っております。
 そのためには、学校の管理職がそういった意識をもってそういった任用をしていくこと、これがまず大事になるかと思います。
 また、先ほども答弁いたしましたが、来年度から新しい教職員マネジメント研修も実施してまいります。こういった中で、30代や40代の若い世代の方たちにマネジメントの研修であるとか、あるいはリーダーシップなどの研修を行っていくことで、自信をもって、そして、力のある若い世代の管理職になっていただける方、そういった方を育成していきたいと考えております。