特別委員会の最終報告に、山本議員の11項目15の提言が盛り込まれる

12月20日、茨城県議会が設置した「誰もが輝く持続可能な茨城を担う人づくり調査特別委員会」が開かれ、同特別委員会の最終報告がまとめられました。
少子化、人口減少が進む日本社会にあって、結婚・出産、子育て、教育を通じた人づくり、多様な働き方や外国人材の積極活用などの視点から、茨城県政への具体的な提案を行うことを目的に、この特別委員会は設置されました。
茨城県議会公明党を代表して山本美和議員が委員に選任され、7回にわたる委員会での議論を続けてきました。
山本議員の委員会質疑により、以下に掲げた11項目15提案が最終報告書に反映されました。

<不妊治療>
○不妊治療においては、知識や情報の不足によって患者が漠然とした不安を抱えることも多く、一般の疾病以上に丁寧なケアが求められる。不妊治療専門の医師やカウンセラーなどが様々な相談に応じる不妊専門相談センターにおいては、オンライン体制の拡充をはじめ、当事者の多様な働き方や生活の仕方に合わせた相談方法を考えていく必要がある。
○個別の相談だけではなく、不妊に関して同じ悩みを持った方同士、いろいろと忌憚のない話ができる場を求める声も多い。そうしたニーズに対応できるグループミーティングの場については、不妊専門相談センターはもとより、民間企業の事業によるものも含め、利用を活性化させていく必要がある。

<政策立案の視点>
○国においては、子どもの最善の利益を第一に考え、子どもに関する政策を社会の真ん中に据えていく「こどもまんなか社会」を目指している。県においても、子どもを取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、子どもの権利を保障し、子どもを誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押ししていく考え方に則り、子どもの視点、子育て当事者の視点に立った政策立案を行う必要がある。

<多胎児>
○多胎児を産み育てる負担は様々な面で非常に大きいため、妊産婦がうつ状態になってしまったり、出産をあきらめてしまったりするケースも見受けられる。多胎児に対する子育て支援については、市町村によって地域差が生じないよう、県または国の立場から充実を図っていく必要がある。

<地域の子育て支援の充実>
○子育て家庭への支援として重要なアウトリーチ型の家庭訪問事業においては、担い手をどうするかが大きな課題となっている。ノウハウを有する民間の活用も含めて、担い手の確保に係る課題を克服する必要がある。
○地域によって子育て支援の差が生じないよう、市町村が動きやすい仕組みをつくることが県の役割である。母子保健、児童福祉、教育といった縦割りの垣根を越えて、全庁的に子育ての現場を支援していく必要がある。

<家庭教育>
○子どもの発達段階に応じた家庭教育支援資料の内容について、保護者が十分理解しているとまでは言えない状況にある。対面でのアプローチが有効であるため、全ての保護者が参加する就学時健康診断や入学説明会を、家庭教育に関する保護者との連携の場として活用する必要がある。

<不登校>
○長期欠席の児童生徒を対象としたアンケート調査の際、親子が傷ついてしまうのではないかという過度の配慮により、本当は回答したかった親子にアンケートが届かなかった事例もある。不登校に関する調査に当たっては、当事者の声を把握するための貴重な機会であるという重要性に鑑み、より丁寧な実施の在り方を考える必要がある。
○昨年度から始まった校内フリースクールのモデル事業で得られた成果に基づき、県として、不登校の解消に向けた次の一手となり得る、より踏み込んだ対応を検討する必要がある。

<特別支援教育>
○インクルーシブ教育システムの理念の下、発達障害等を含め、特別な教育的支援を必要とする全ての子どもたちに対応した多様な学びの場を提供していくとともに、共に学ぶ機会の充実を図っていくことも必要である。

<外国人児童生徒>
○外国人児童生徒が高校受験等に臨む場合、日本語で高度な学習内容を理解しなければならず、日本人以上に高いハードルが課せられる。進学を希望する外国人児童生徒に対しては、受験を見据えた上でのより細やかな学習支援が必要である。
○外国人児童生徒の保護者が日本語を理解できないために、学校側との間でトラブルが生じることも少なくない状況にある。保護者と学校側の間におけるコミュニケーションを円滑なものとするためにも、大人の外国人が日本語を学ぶための支援策について手厚く講じる必要がある。

<外国人材>
○各市町村の国際交流協会等においては、支援を求める外国人に必要な支援が行き渡るよう、取組を進める必要がある。そうした取組を通じて、SNS等による外国人コミュニティ間での情報共有だけでなく、然るべき相談機関につながることのできる体制を確立すべきである。

<多様な働き方>
○コロナ禍でテレワークが進んだことは、多くの子育て世代にとって、自分たちの働き方を見直す契機となっている。そうした中、子連れ出勤や子連れコワークといったスタイルについても、多様な働き方をめぐる一つの選択肢として、県内事業者に波及させていくべきである。

<女性活躍>
○県では、「茨城県職員子育て応援・女性活躍推進プラン」を策定しているが、女性職員の目線に立ったさらなる取組を進められる余地は大きい。男性職員や上司が、女性職員の抱える具体的な課題を共有しながら、女性職員が一層活躍できる方策について検討する必要がある。