7月25日、NPO法人ウィメンズネット「らいず」主催の研修・交流会に参加しました。
ウィメンズネットらいずは、DV•性暴力、虐待被害を受けた女性と子どもたち、生きづらさを抱える人たちをサポートする団体です。この日は困難女性支援法と改正DV法 について学びました。
「困難女性支援法」について
2024年4月に施行された「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」、通称「困難女性支援法」は、困難を抱える全ての女性に寄り添った支援を強化することを目的としています。この法律の制定により、女性が直面するさまざまな社会的困難に対するサポートが一層充実しました。
困難女性支援法は、性別に関わらず困難な状況にある方々が多い現代において、特に女性が性暴力被害や賃金格差、不安定な雇用環境に直面しやすい現実を踏まえて制定されました。データによれば、女性は男性と比較して賃金が低く、非正規雇用者の割合も高いことが明らかです。さらに、夫やパートナーからのDVや職場の人間関係による精神的な問題、非正規雇用の雇い止めなど、さまざまな困難に直面する女性が多く存在します。
こうした背景のもとで、女性を支援する法律の必要性が高まっていました。戦後の福祉的な法律の中で、女性支援の根拠となっていたのは「売春防止法」であり、この法律は売春をする、またはそのおそれのある女性を保護・更生するためのものでした。しかし、この法律では現代の多様な困難に対応しきれないため、新たな支援法が求められていたのです。
新法の制定により、女性を保護するための施設の運営方針が大きく変わりました。従来の管理的な制度から脱却し、ひとりひとりの状況に応じた支援が行われるようになりました。例えば、DV被害者や虐待を受けた女性に対しては、精神的ケアの専門職による面談や、携帯電話の貸し出しなど、より柔軟で支援的な環境が整備されつつあります。また、女性相談支援員の体制強化も進められており、彼らは相談者の伴走者として、相談者が自分の人生を自己決定し選択するプロセスをサポートしています。
さらに、新法は官民協働を推進し、行政と民間団体が対等な立場で女性支援に取り組むことを目指しています。北海道では新法施行前から民間DVシェルターが行政と連携し、女性支援を行っていましたが、この協働の形が全国に広がりつつあります。
一方で、相談員の数の不足や支援のための予算の確保といった課題も存在します。全国の約5割の市町村には相談員が一人もいないという状況で、新法で「配置が努力義務」と明文化されたものの、実際の配置や予算確保が課題として残っています。
困難女性支援法の施行により、支援の体制が整備されつつある今、自分からSOSを出す勇気が求められています。地域の相談窓口や支援団体に相談することで、適切なサポートを受けることが可能です。厚生労働省の特設支援サイト「あなたのミカタ」では、地域の相談窓口を検索できるので、ぜひ利用してみてください。
あなたのミカタ(厚生労働省):https://anata-no-mikata.jp/
この法律が、すべての女性が安心して社会生活を送れるようになる一助となることを期待しています。社会全体で支え合い、困難を抱える女性たちに寄り添う環境を整えていきたいと思います。