2024年9月25日、茨城県議会予算特別委員会が行われ、県議会公明党の山本美和議員が質問しました。
近年頻発する豪雨被害の対策として、「田んぼダム」の整備を進める緊急対策事業の予算が認められました。そもそも田んぼダムは、平成26年に茨城県議会公明党が、その導入の提案をしたものです。
田んぼダムとは、水田の落水口に流出量を抑制するための堰板や小さな穴の開いた調整板などの器具(落水マス)を取り付けることで、水田に降った雨水を時間をかけてゆっくりと排水し、水路や河川の水位の上昇を抑えることで、あふれる水の量や範囲を抑制することができるものです。
田んぼダムを実施する地域やその下流域の湛水被害リスクを低減し、さらに農地の保全にも寄与することが期待されています。緊急事業の狙いと課題、今後の展望について、農林水産部長に質問しました。
田んぼダムは対象者も多岐にわたり、効果的に流域治水の取り組みを広げるためには、国、地方公共団体、企業・団体、研究教育機関などが、国レベルや地域・流域レベルで相互に連携することが重要です。そこで、茨城県における流域治水の取組の推進体制について土木部長に質しました。
【田んぼダムとは】
田んぼダムとは、水田が持つ雨水を貯める機能を利用して、大雨時に田んぼに一時的に水を貯め、排水路や河川への流出を抑制する取り組みです。洪水被害の軽減や、排水路などの排水施設の負担を軽減することを目的としています。
田んぼダムの実施には、田んぼから排水路に水を落とすための落水桝に、元々の落口より小さい口径の「堰板(調整板)」を設置します。これにより、田んぼからの排出量を抑制し、排水路の水位の上昇を抑えることができます。通常の水田と比べ、ピーク流量(最大排水量)を60%~70%抑制することができます。
田んぼダムは、農家が簡単に始められる地域防災の取組で、新潟県村上市南部の神林地区で平成14年度に全国に先駆けて取組が始まりました。
田んぼダムのデメリットとしては、中干しや増水前後の調整板の設置・撤去作業、排水桝の管理作業が従来よりも煩雑になることが挙げられます。また、水稲の生育ステージ次第では、増水時の水深や冠水・湛水の継続時間によって、生育や収量に影響することが懸念されます。