“こどもまんなか社会”実現に、茨城県こども計画を今年度中に策定

茨城県は、すべての子どもと若者が安心して暮らし、自らの可能性を最大限に伸ばすことができる社会、「こどもまんなか社会」の実現を目指して、新たに「茨城県こども計画」を策定しています。この計画は、2025年度から2029年度までの5年間を対象としており、妊娠期から子育て期、さらには青年期に至るまで、切れ目のない支援を包括的に提供するための方針と施策を具体的に示したものです。

この計画は、2023年4月に施行された「こども基本法」に基づき、都道府県が策定する努力義務を負ったことを受けて進められています。山本美和議員が令和5年6月議会で指摘したように、こども政策においては、児童福祉と母子保健の連携不足が課題とされてきました。これらの部署間の垣根を越え、医療や保健、福祉が一体となった支援体制を構築することが本計画の重要な意義です。

特に、妊娠初期から子育て期にわたる伴走型の相談支援が強化される点は注目に値します。このアプローチは、ゼロ歳から2歳の低年齢期における子育て家庭の孤独感や不安感を軽減し、児童虐待の未然防止にもつながるとされています。また、計画には児童相談所の専門職員の増員や一時保護施設の環境改善、里親制度の充実など、困難を抱える子どもたちを支える具体的な施策も盛り込まれています。

さらに、山本議員は、子どもの貧困対策にも焦点を当て、経済支援、生活支援、学習支援の3つの柱が重要であると指摘しました。彼女の経験に基づく学習会の取り組みは、子どもたちが学びやすい環境を整えることが、貧困の連鎖を断ち切る大きな力となることを示しています。本計画では、こうした取り組みを参考に、生活保護世帯や生活困窮状態にある子どもたちへの支援を一層強化していく方針です。

一方で、計画の策定に関しては、地域間での進捗のばらつきが課題となっています。茨城県内の自治体のうち、2023年度中に計画を策定すると回答したのは全体の約4割であり、半数以上が「未定」の状態にあります。この背景には、準備期間の短さや当事者意見を反映する手法の整備不足があるとされています。議員が指摘したように、県は市町村への説明会や研修会を通じて、計画策定を支えるためのきめ細やかな支援を行う必要があります。

「茨城県こども計画」は、子どもたち自身が自らの権利を持つ主体として尊重される社会を目指すものです。そのためには、県と市町村、そして地域社会全体が連携し、一丸となって取り組むことが不可欠です。本計画の詳細は現在パブリックコメントを募集しており、県民一人ひとりの声を反映した内容となることが期待されています。こうした取り組みを通じて、子どもたちがより良い未来を描ける茨城県を共に築いていきたいものです。