山本美和議員が一般質問【不登校支援について】

2024年3月7日県議会一般質問が行われ、県議会公明党の山本美和議員が登壇しました。
山本議員は、防災対策の強化、教育現場の諸課題、困難な問題を抱える女性支援などの6項目について質問しました。
中でも不登校対策では、校内フリースクールの充実などを提案し、「学びのあり方」自体を変えていくことが重要と強調。『子どもたちにとって、最大の教育環境は教師自身である』との言葉があります。教師自身にとって学校は安全で安心な場所であるか、やりがいと希望のある職場であるかどうかということが大切であるとと考えます、生き生きとした教員の元に子どもたちは安心感を持って通うことができるのではないでしょうか」と結びました。

不登校支援について

 文部科学省が発表した2022年度版の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、不登校中の小中学生の人数は前年比22.1%増の29万9,048人に達して過去最多となり、その要因は「無気力や不安」が51.8%と過半数を占めています。
 地元の小中学校で先日行われた学校評議員会において、学校評価アンケート結果の報告がありました。小学生も中学生も「学校生活が楽しい」と回答している割合に対し、「自分にとって学校は安全で安心できる場所だと思う」の割合が低いことが気になりました。児童生徒の「楽しい」・「楽しくない」にはもちろん波があると思いますが、「学校で安心して過ごせるかどうか」は最重要なのではないかと考えます。学習面での不安、友達・教員・家族という人間関係上の不安などは、先程の調査における不登校の要因の「無気力や不安」に通じるものです。
 また、不登校の児童生徒の38.2%は、学校内外で専門家らの相談や支援を受けられていなかったとの結果があります。
 校内フリースクールは、他の児童生徒とは触れ合わずに登校でき、自分のペースで自分に合った環境で勉強したり過ごすことができ、学校内でのひとつの居場所として一定の評価を得ています。本県でも力を入れて取り組んでいただき、つくば市では本年度、全中学校に校内フリースクールを設置し、来年度からは全小学校、義務教育学校にも拡充する予定となっています。
 現在、県で担当職員を配置し設置している校内フリースクールは13市町38校あり、その他、県が把握している民間フリースクールは県内68施設とお聞きしています。特別支援学級、通級指導室とともに、支援が必要な児童生徒は増加傾向にあることからも「子どもの目線にたった教育の場」が求められているのではないでしょうか。
 スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置は、少しずつ増員いただいておりますが、ニーズの高い市町村においては独自配置を行っている状況もあることから、教育格差の広がりを懸念しております。
 また、小中学校に限らず、高校においても不登校が増えており、私も多くのご相談を受けております。退学や留年の問題など、対応が難しいケースが増えているようです。
 そこで、公立小中学校における校内フリースクールの実証総括と不登校支援の今後の方針、また、県立高校での不登校支援についてどのように進めていくのか、教育長の御所見を伺います。 
この項目の壇上からの質問は、以上です。

【教育長答弁】
 まず、校内フリースクールの実証総括と不登校支援の今後の方針についてであります。
 昨年3月に文部科学省がまとめた「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」では、「不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整える」ことの重要性が示されており、不登校児童生徒に対する多様な学びの場や居場所を確保することが求められております。
 こうした中、県では、昨年度から校内フリースクール研究事業を展開しており、現在、つくば市と坂東市の中学校をモデル校として、不登校や不登校傾向にある生徒が、安心して生活や学習ができるよう専用教室の設置と専任教員の配置を行い、一人一人のニーズに応じた学習支援等を行う取組を進めているところでございます。
 この結果、「自分にはよいところがある」という自己肯定感の向上につながり、昨年度利用した3年生においては、全ての生徒が高校に進学するなど、不登校生徒の社会的自立に向けて効果があったと考えております。
 加えて、不登校傾向にあった生徒が、早期に校内フリースクールを利用することにより、ある学校では、新たに不登校となる生徒が、校内フリースクール設置以前は20人程度であったのに対し、設置後は半数以下になるなど、未然防止の効果も報告されております。
 これらの成果を踏まえ、校内フリースクールの設置について、モデル校の3年目を迎えるつくば市では全ての小中学校に、2年目を迎える坂東市では全ての中学校に展開する予定となっております。
 また、県では、来年度新たに校内フリースクールを設置する市町村に対して、運営員配置へ補助できるよう関係予算を当初予算に盛り込むとともに、水戸市内の中学校にもモデル校を置くなど、更なる設置を促進してまいります。
 そのほか、不登校児童生徒が専門家等の相談・指導を受けている割合は、昨年度62%に対し、今年度11月末時点で95%以上となっており、専門的な視点からアセスメントを行うことによって、「無気力・不安」としていた不登校の要因を具体的に捉え、効果的な支援を行うことができているものと捉えております。
 来年度は、スクールカウンセラーの配置人数やスクールソーシャルワーカーの派遣回数を拡充する予定であり、今後も効果的な支援を行えるよう体制を強化してまいります。
 次に、県立高校での不登校支援についてであります。
 昨年度の本県高校の不登校生徒数は、千人当たり9.6人で全都道府県で最も小さい値となっているものの、不登校生徒数は686人となっており、速やかな支援が必要と認識しております。
 県立高校につきましては、小中学校と同様に各学校においてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどと連携し、状況に応じて家庭訪問などのアウトリーチ型支援を行うことなどにより、生徒や保護者に寄り添った早期の対応に努め、不登校支援の充実を図っております。
 さらに、入学した高校において学校不適応などを理由に不登校となってしまう生徒もいることから、今年度、入学後一定期間であれば、随時転学試験を受けることが可能となるよう、転学に関する制度の改定を行ったところでございます。
 県といたしましては、今後も、不登校児童生徒の多様な学びの場や居場所の確保に努めるとともに、不登校の支援に向けて相談体制の充実を図り、小・中・高における切れ目のない不登校支援の充実に努めてまいります。

【教育長への再質問】
 教育長に、校内フリースクールについて、再質問します。
 校内フリースクールの担当職員が非常に大事になってまいります。
 そこで、配置職員の育成研修のあり方について教育長にお伺いします。

【教育長の再質問への答弁】
 再質問にお答えいたします。
 校内フリースクールにおける専任教員の研修につきましては、各学校の生徒指導主事等を招いての研修を、まず、全校対象にして行っております。そういった中で、この配置される教員がどういったことが求められて、そして、その役割として、何を担っていくのかとか、そういったことについてしっかりと研修を行っているところでございます。
 また、モデル校において取り組んでいるその専任教員の活用状況等を他校に広めるなどによりまして、こういった専任教員の活用を今後もしっかりと図っていきたいと考えております。

【感想等】
 「子どもたちにとって、最大の教育環境は教師自身である」との言葉があります。教師自身にとって学校は安全で安心な場所であるか、やりがいと希望のある職場であるかどうかということが大切であると考えます、生き生きとした教員の元に子どもたちは安心感を持って通うことができるのではないでしょうか。
 「不登校対策」ではなく「学びのあり方」自体が変わっていくことを期待し、次の質問に移ります。